2022接着歯学用語まとめ1

接着歯学に用いられる略語をまとめてみます。

1)SLDP(Smear Layer Deproteinization Pretreatment):象牙質接着システムを塗布する前に、次亜塩素酸ナトリウムや次亜塩素酸で象牙質表面に処理し、スメア層の有機成分を減らし、ミネラル濃度を高めて、接着強さ・接着耐久性をアップする目的で行う歯面処理、接着阻害因子である残存酸化有機物の還元処理が必要となる

2)SEA(Self-Etching Adhesive):セルフエッチングモノマーによる歯科用接着システム

3)IDS(Immediate Dentin Sealing):インレー・アンレー・オーバーレイ修復のための歯牙切削後に露出した新鮮象牙質を封鎖する操作、歯科用接着剤を塗布し、フロアブルレジンで薄いレジンコーティング層を形成する

4)DME(Deep Margin Elevation):歯肉縁下にある歯質にコンポジットレジンを用いて歯肉縁上まで持ってくる操作、調整したマトリックスバンドを歯と歯肉の間に適合させ、歯科用接着剤とフロアブルレジンを用いて、歯肉縁下マージンを挙上する

5)LDS(Lithium DiSilicate):二ケイ酸リチウム、通常イーマックスと呼ばれる、シリカ系セラミック処理剤であるシランカップリング処理や酸処理(フッ酸やリン酸)が有効で、歯科用接着剤との相性がよく、強固な接着強さが実現できる。LDSで作製した修復物を、フィラー含有量の多いペーストタイプコンポジットレジンを加熱して流動性をよくしてセメンティングすることで、審美性を持たせながら、修復物の脱離や破折を防ぐことができ、また、修復物の維持形態に捉われないので、場合によっては、歯質切削量を抑えることもできる(たとえば、クラウン vs オーバーレイ)

6)FRC(Fiber Reinforced Composite):ポリエチレンファイバーによって補強されたコンポジットレジン、リボンどというポリエチレンファイバーを併用することで、コンポジットレジンの機械的性質の補強や重合収縮の軽減などがはかれる

7)オーバーレイ(Overlay):すべての咬頭を被覆する修復物、クラウンに近いが、咬頭のみを被覆し、咬頭以下から歯頸部までの切削はほとんどない、特に亀裂歯や根管治療後の歯牙の歯冠修復に適している。維持形態を付与しないで、歯科用接着剤と加熱コンポジットレジンで、歯に頑丈に接着させることで、余計な歯質切削の必要がなく、歯質保存にもつながる

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