どん先生、歯が割れました、、、
抜歯以外に方法はないですか?涙
まず、どこまで割れているかによりますね、、
マイクロスコープで割れている範囲をみてみましょう
歯が割れたら、どうしたらいいんですかね?
歯と同じ硬組織である骨は、骨折で折れても、再生して、自然にくっついて治ってくれますが、
歯は一度割れたら、再生しません。
割れた歯、抜かないで何とか保存することはできないのでしょうか?
目次
アメリカ歯内療法学会(AAE, American Association of Endodontists)では、割れた歯を次のように分類しています。
- クレイズライン craze line : エナメル質表面に限局した亀裂
- 咬頭破折 fractured cusp : 歯の噛む面の割れ
- 亀裂歯 cracked tooth : 歯根に向かって縦に入った亀裂
- 分割歯 split tooth : 亀裂歯が長期にわたって放置されて、真っ二つに歯が分割された状態
- 垂直性歯根破折 vertical root fracture : 歯根のひび割れ
クレイズラインに関しては、治療の対象とならないので、それ以外の状態の対応について、実際の写真をみながら、解説していきます。
写真1)の症例は、噛むと痛いという主訴でしたが、レントゲンでも明らかなむし歯もなかったので、経過観察をしていましたが、マイクロスコープで歯の表面を確認すると、ひびが入っていたので、「ひびの深さを確認しましょう」と説明して、亀裂線を削ってみると、やはり歯の神経の近くまで亀裂が入っていました。おそらく、歯ぎしりやかみしめなどで歯に強い負荷がかかって、咬頭という噛む面が破折していたと推測されます。
幸い、亀裂線は途中で消えて、歯の神経までは及んでいなかったので、削った穴をコンポジットレジンで埋めて、再破折を防ぐために、すべての噛む面を覆う「オーバーレイ修復」を行いました。
セラミックおよび歯の接着剤の進歩によって、最近はこういった亀裂歯症例に対して、オーバーレイ修復をうまく活用しています。
二ケイ酸リチウム(イーマックス)のオールセラミックと象牙質接着システムが応用されますので、詳しくは、歯医者のどんちゃんねるをご覧ください
2)の症例では、歯茎の腫れを主訴に来院されましたが、他院では原因を全然みつけてもらえず、原因を調べて欲しいとのことでした。
マイクロスコープで確認したところ、歯に亀裂が歯の神経の部屋まで進んでいる状態でした。病態としては、亀裂線の隙間から虫歯菌が歯の中に侵入して、歯の神経がやられて、壊死して、最終的には根の先端に膿が溜まって、歯茎が腫れたということでした。診断後に、根管治療を行うと、歯茎の腫れはすぐに治り、患者さんはとても喜んでくれました。
しかし、亀裂が歯根まで及んでいる可能性があったので、将来的に、炎症の再発および抜歯の可能性があると患者さんには伝えて、とりあえずは、歯を保存することにしました。
症例の詳しくは、歯医者のどんちゃんねるに動画をアップしていますので、ぜひご覧ください!
3)の症例は、分割歯で、前歯で強く噛む方で、歯が真っ二つに割れて、ぐらぐらしている状態でした。こういう場合、残念ながら抜歯するしか方法がないですが、歯を保存する方法としては、抜歯の可能性を前提とした、意図的再植があります。
意図的再植は、一度歯を抜いて、割れている部分に接着剤を流して、固めて、また戻すという治療ですが、予後に関しては非常に不明なところがありますので、ダメ元でやってみる感じですね。
垂直性歯根破折は、歯根にひびが入っている状態で、基本的には、根の治療をやっても、うまくいかないことが多いですので、抜歯することをおすすめします。
しかし、痛みなどの自覚症状がなければ、患者さんに病態を理解してもらった上で、保存することも場合によっては可能かと思います。
垂直性歯根破折の歯を残すリスクとしては、細菌感染の悪化による周辺骨の骨破壊です。
垂直性歯根破折が確認されて、それに関連して周りの骨がかなり破壊されている場合は、早めの抜歯をおすすめします。
なるほど、
割れ方によっては、歯を残す可能性もあるんですね!
そうなんです!
まずは、マイクロスコープで歯のひび割れの状態をしっかり診断してもらいましょう!
マイクロスコープによる拡大視野で、歯を保存するチャンスは増えますから!
マイクロスコープ、バンザイ!