虫歯がないのに歯が痛い?亀裂歯(クラック)の診断法

歯医者のどんちゃんです。

今回は、歯の亀裂(クラックcrack)について解説します。

歯に亀裂(ひび)が入ったらどうなる?

「硬いものを強く噛んでしまった」、「歯ぎしりがひどい」など、

歯に強い力がかかると、亀裂(ひび)が入ることがあります。

歯の亀裂

症状

亀裂が歯の神経までいくと、いろいろ不具合が出てきます。

亀裂が細菌の通り道になって、細菌が歯の神経まで到達すると、

噛むと痛い、何もしなくても痛いなどの歯の痛みを誘発したり、歯の神経を腐らせて、歯が腫れたりします。

診断法

でも、亀裂は0.01ミリの非常に細い筋ですので、レントゲンでまず写らないですし、肉眼でもわからないことが多いです。

亀裂の診断には、マイクロスコープ(手術用顕微鏡)の拡大視野が必須です。

歯科用マイクロスコープ(手術用顕微鏡)

診断・治療の実際

亀裂歯を、実際のマイクロスコープでみた様子を、写真でみながら、診断と治療の手順をみていきたいと思います。

マイクロスコープの活用(写真あり)

1)歯が痛くて亀裂の深さを確認することにしました
2)亀裂を削りながら、どこまで亀裂が入っているかを確認していきます
3)歯を真ん中で割るような亀裂が深く入っていることがわかりました
4)亀裂をさらに削って追っていくと、歯の神経(歯髄)の部屋(歯髄腔)がみえました。歯髄腔からは出血がなく、歯髄が壊死(えし)していることがわかりました
5)まず根管治療をして根管充填まで終わった後の様子。亀裂線を完全に削除することができませんでした。
6)象牙質接着システムと補強材(リボンドRibbond)を活用して、しっかり亀裂部を保護して、補強しました。

予後は?

亀裂によって歯周病になっているかが(5mm以上の深い歯周ポケットがある)、予後に大きく関わります。

亀裂によってできた歯の隙間に、歯周病菌が定着して、歯を支える骨を破壊して、深い歯周ポケットができてしまいます。

歯周ポケットができてしまっている歯に対する治療の成功率は、1年成功率で5割程度との報告もあり、予後が非常に悪いです。

歯周ポケットがない場合は、比較的良い予後が期待できます

亀裂歯の根管治療の成功率に関する論文についてはこちらを参考にしてください。

1) 12-month Success of Cracked Teeth Treated with Orthograde Root Canal Treatment, Krell KV et al, J Endod. 2018

2) Cracked Teeth: Distribution, Characteristics, and Survival after Root Canal Treatment, Kang SH et al, J Endod. 2016

マイクロスコープをしっかり使える歯医者に、亀裂をしっかり見てもらいましょう!

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