コンポジットレジン(プラスチック詰め物)の体への影響;レジンアレルギー、化学物質過敏症、ビスフェノールAなどの可能性について

こんにちは、歯医者のどんちゃんです。

今回は、今の歯科ではなくてはならない材料、コンポジットレジンとその体への影響について考えてみたいと思います。

コンポジットレジンの成分

まず、コンポジットレジンの成分からみていきたいと思います。

コンポジットレジンは、英語でcomposite resindental compositeなどと表現しています。

日本語で訳すと、「複合レジン」という意味です。

レジン」は簡単に言うとプラスチックのことで、合成モノマーを重合させて機能させる材料をいいます。

複合レジン」というのは、レジンの中に何かを混ぜているという意味で、レジンの欠点を補うために、「フィラー」というものを混ぜています。

コンポジットレジンの成分を詳しくみてみると、

コンポジットレジンの成分

1)レジン:合成モノマー(Bis-GMA、UDMA、TEGDMA、Bis-MEPP、メタクリル酸系など)

2)フィラー:無機成分(シリカ、ジルコニアなど)

3)その他:重合開始剤、重合促進剤、フィラー表面処理剤

やはり成分をみると、特にレジン成分として、たくさんの合成化学物質が使われていることがわかります。

また、コンポジットレジンを使うときは、歯にコンポジットレジンがくっつくように、歯の接着剤を塗ってから使います。

歯の接着剤の成分

1)モノマー:MDP、HEMAなど

2)その他:重合開始剤、フィラー

ここにもやはりたくさんの化学物質が使われています。

考えられる身体への影響

レジン成分のモノマーが血流に流れて、悪さをすることが考えられます。

コンポジットレジンの使い方をみてみたいと思います。

コンポジットレジン使用の流れ

1)歯に接着剤を塗る

2)コンポジットレジンを詰める

3)光で固める

コンポジットレジンは、光を当てて、直接お口の中で固めます。(光重合

実際、表層には重合反応が起きていない「未重合層」というところがあるので、逆にいうと、そこには重合反応できなかったモノマー(Bis-GMAなど)が残っていることになり、体内に流れる可能性があるといえます。

実際の影響は?

なので、コンポジットレジンは、残留モノマーによる体への影響が考えられます。

実際には、

残留モノマーの影響

1)レジンアレルギー:MMAやHEMAなどのメタクリル酸系

2)化学物質過敏症

3)ビスフェノールA様作用:Bis-GMA

レジンアレルギー

レジンアレルギー
(特にHEMAなど)

1)粘膜症状:発赤、扁平苔癬

2)皮膚症状:湿疹、蕁麻疹

などと金属アレルギーに似ている(パッチテスト陽性)

特に、MMAやHEMAなどのメタクリル酸系のモノマーでアレルギーがみられるらしく、金属アレルギーに似た様な症状が出るそうです。

診断には、金属アレルギーと同じ様に、パッチテストが用いられるそうです。

化学物質過敏症

化学物質過敏症(診断基準)

1)主症状:持続あるいは反復する頭痛、筋肉痛あるいは筋肉の不快感、持続する倦怠感・疲労感、関節痛

2)副症状:咽頭痛、微熱、下痢・腹痛、一過性の暗点、集中力・思考力低下、興奮・神経不安定・不眠、皮膚のかゆみ

3)検査所見:副交感神経刺激型の瞳孔異常、視覚空間周波数特性の異常、眼球運動の典型的な異常、SPECTによる大脳皮質の明らかな異常、誘発試験の陽性反応

化学物質過敏症は、洗剤、殺虫剤、芳香剤、排気ガスなど、あらゆる化学物質が原因となりうるので、

コンポジットレジンの残留モノマーも、それの原因物質になりうるのではないでしょうか。

ビスフェノールA様作用

ビスフェノールAの作用
(Bis-GMAはビスフェノールAの化学構造を持っている)

1)乳腺・前立腺への影響

2)思春期早発

3)胎児への影響

4)エストロゲン受容体が機能する中枢神経系・内分泌系・免疫系への影響

Bis-GMAはビスフェノールAから合成するもので、ビスフェノールAの化学構造を持っていますし、実際、コンポジットレジンからビスフェノールAが検出されるという最近の文献も出ています。

なので、妊婦や子供にコンポジットレジンを使うときは注意が必要かもしれません。

今回は、コンポジットレジンの体への影響について考えてみました。

正直、コンポジットレジンなしでは、歯科治療は成立しないと言っても過言ではありませんが、

アレルギー、化学物質過敏症、ビスフェノールAの影響を考えると少し慎重になります。

セラミックにしても、コンポジットレジン系のセメントで付けないといけないので、実際こういうった影響が出る可能性はあるということですしね、、、

なかなか、難しい問題ですが、患者さんのための知識として頭にいれておこうと思います。

以上!

(参考資料)

1)コンポジットレジンからのビスフェノールA検出に関する文献

Preparation and evaluation of novel bio-based Bis-GMA-free dental composites with low estrogenic activity, Sun Y et al, Dent Mater. 2022 Feb;28

 Long-term elution of bisphenol A from dental composites., De Nys S et al, Dent Mater. 2021 Oct

 Detection of Bisphenol A in dental wastewater after grinding of dental resin composites, Polydorou O et al, Dent Mater. 2020 Aug;36

 Dental composites – a low-dose source of bisphenol A?, M Šimková et al, Physiol. Res. 2020 Sep

2)ビスフェノールAについてQ&A(厚生労働省ホームページより)

3)化学物質過敏症について(化学物質過敏症支援センターより)

4)化学物質過敏症について(新潟県ホームページより(PDFファイルはこちら))

5)レジンアレルギー関連文献

https://ir.tdc.ac.jp/irucaa/bitstream/10130/4246/1/9_17.pdf

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