こんにちは、歯医者のどんです。
長い根管治療がやっと終わった!
と思ったらまだ治療が続く?
特に、奥歯の場合、根管治療もかなり大変ですので、2〜3回、場合によってはそれ以上かかる場合もあります。
でも、根管治療が終わっても、まだ治療は続きます!
根管治療は、歯の基礎工事の一部にすぎないので、噛めるようになるには、まだまだ先です。
今回は、根管治療が終わったあとの流れについてみていきたいと思います!
目次
土台は、支台築造と言いますが、根管治療をしてできた歯の穴を埋める作業です。
支台築造にもいろいろな方法がありますが、
私が理想と考える支台築造は、歯の接着システム(象牙質接着システム)による支台築造です。
歯の接着システムで、
1)歯を接着システムで強く固めて、
2)歯と土台材をできるだけ一体化して、噛む力による挙動をシンクロさせる
ことで、歯根破折の防止につながると思っているからです。
あとは、穴をしっかり封鎖することで、細菌の漏洩を塞いでくれます。
象牙質接着システムを応用して、歯の穴に直接土台を立てる手順をみていきましょう
1)歯の内面処理
2)歯の接着剤の塗布
3)土台材(コンポジットレジン)を入れる
4)補強材(リボンド)を入れる
5)固める
まず、土台材(コンポジットレジン)がしっかり歯の面にくっつくように、象牙質接着システムによる歯面処理をしっかりおこないます。
1)歯面清掃:歯の表面の余計なもの(根管充填で使ったシーラーなど)をとって、歯の本来の表面を出す
2)次亜塩素酸ナトリウム処理:歯の表面のコラーゲンなどのタンパク成分を減らして、ミネラル成分の濃度を高める
3)還元処理:次亜塩素酸ナトリウムで酸化した残存コラーゲン線維を還元剤で還元する
4)プライマー塗布:モノマーを歯面に染み込ませる
5)ボンディング剤塗布:歯面にレジンの強固なコーティング層を形成する(樹脂含浸層)
もっと、簡単な処理もありますが、接着強度を最大限に出すために、少し手間をかけて、いろんな歯面処理を行なってから、最後に接着剤を塗っています。
この作業が終わったら、あとは、コンポジットレジンの土台材を歯の穴の中に詰めて、土台をたてていきます。
あとは、土台材を穴の中に入れていくだけですが、ここでよりしっかりした土台にするために、私は、
Ribbond(リボンド)という補強材を入れて、土台を立てています。
補強材利用のメリットとしては、
1)土台材の補強:土台そのものの強度が上がって壊れにくい
2)土台材の収縮を抑制:土台材をあらゆる方向から補強するので、重合による収縮が抑制される
3)封鎖性の向上:重合収縮が抑制され、歯と土台材の間に隙間ができにくい
なかなかピンとこない方は、こちらの動画をぜひみてみてください。
土台がしっかり立てられたら、あとは、歯の形をかぶせもので修復して、しっかり噛めるようにします。
被せ物は、
1)歯の土台の形を整えて
2)型取りをして
3)歯の模型をつくる
4)技工士さんに被せ物(クラウン)を作ってもらって
5)被せ物(クラウン)をセメントで固定する
という流れで行います。
根管治療済みの歯は、歯が治療前に比べて薄くなっているので、強い噛む力によって割れやすいです。
なので、噛む力で歯が割れないように、しっかり被せもの(クラウン)をしておく必要があります。
今回は、根管治療後の治療の流れについてみてみました。
まとめると
根管治療→支台築造→支台歯形成・印象→クラウン装着
といった流れになります。
私は特に根管治療直後の支台築造は、根管治療の延長戦だと思っているので、しっかり無菌的に行う必要があると思いますし、非常に重要な作業だと思っています。
もちろん、精度の高いクラウンを入れて、歯の中を再び細菌感染させないことも重要ですけどね
今回の記事は以上になります。
よろしければ、私のYouTubeチャンネルもぜひ登録してください!