根管治療はここ大事!根管消毒について

こんにちは、歯医者のどんです。

今回は、根管治療で使う根管消毒液について説明します。

まず、根管治療の流れから

  • 根管形成 root canal preparation:細長いヤスリ(ファイル)で、歯の中を、機械的にきれいにする
  • 根管消毒 root canal irrigation:消毒液で、歯の中を、化学的にきれいにする
  • 根管充填 root canal filling:無菌状態になった歯の中を詰める

特に、根管消毒root canal irrigationが、根管治療の中で特に重要なステップだと思っています。

根管の中に細菌が増えてしまうと、根管の隅々まで繁殖して悪さをします。

根管治療で使う細長い針のようなヤスリである「ファイル」を用いて、まず根管の中を広げながらきれいにして、その後、消毒液でよく洗います。

根管形成では高速道路しかきれいにできない

車の道路は、東名高速道路のように車線の多い大きい道路から、家の前にある1~2車線の狭い道路まで、そのスケールはさまざまです。

根管も、道路と同じで、大きい根管から細かい根管まであります。

ファイルでは、根管を機械的に削ってきれいにしますが、ファイルでは、高速道路のような大きい根管しかきれいにできません。

細菌感染した根管の中をファイルで広げながらきれいにする(Wikipediaより)
電動ファイル(NiTiファイル)による根管形成(歯医者のどんちゃんねるより)

なので、ファイルできれいにできない細かい根管は、消毒液でよく洗ってきれいにするしかありません。

効果的な根管消毒のためには

根管形成できれいにできなかった細かい根管は、手術用顕微鏡でもみえないので、消毒液を効果的に作用させてきれいにしないといけません。

まず、細かい根管まできれいにするために使われる消毒液は、

強力な根管消毒液

次亜塩素酸ナトリウム sodium hypochlorite

があります。

次亜塩素酸ナトリウムの効果として、

  • 殺菌作用
  • バイオフィルム除去作用
  • タンパク質分解作用

などがあります。

根管洗浄(歯医者のどんちゃんねるより)

根管治療で使う場合、次亜塩素酸ナトリウム溶液の濃度は1〜6%のものが多いです。

超音波振動

洗浄効果かを高めるために、超音波振動を加える

受動的超音波洗浄 passive ultrasonic irrigation (PUI)

が有効です。

受動的というのは、「超音波振動で歯は削らないで、消毒液に振動を加えるだけ」という意味ですが、

単純に、消毒液に超音波振動を加えて、消毒効果を高めるって考えればいいかと思います。

PUIのメリットとしては、

  • 発生による洗浄効果アップ:キャビテーション cavitaion
  • 乱流発生による洗浄効果アップ:アクスティックストリーミング acoustic streaming
  • 発生による洗浄効果アップ
超音波洗浄(PUI、歯医者のどんちゃんねるより)

根管内に次亜塩素酸ナトリウム液を満たして、超音波装置にチップをつけて、液に振動を加えます。

象牙細管を開け

根管の内壁は、象牙質でできていますが、象牙質は「象牙細管」という細かい穴がたくさん空いているので、そこの穴を開いて、次亜塩素酸ナトリウムでしっかり洗わないといけないですが、ファイルなどの削りカスによって、スメア層smear layerが形成され、象牙細管の穴が、塞いでしまっていることがあります。

なので、

EDTA(エチレンジアミン四酢酸)

というキレート剤を使って、カルシウム成分を除去することで、スメア層を除去します。

17%のEDTAがスメア層除去に有効とされています。

まとめると、

  • 1~6%次亜塩素酸ナトリウム溶液で、根管内を洗浄・消毒する
  • 超音波振動で洗浄・消毒効果を増強する
  • 17%EDTA溶液で、スメア層を除去し、象牙細管を開口し、隅々まで洗浄・消毒できるようにする

根管形成から根管洗浄までの一連の流れは、私のYouTubeチャンネル、

の動画を参考にしてください

う蝕除去〜根管形成〜根管洗浄までの一連の流れ

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