こんちには、歯医者のどんです!
今回は、保険適応で行う手術用顕微鏡を用いた精密歯根端切除についてみてみましょう!
目次
歯根端切除は、文字通り、「歯の根の尖端を切除」する治療です。
歯の根は、顎の骨の中にあるので、歯の根の尖端にアプローチするには、歯茎をめくって、根の尖端部の骨に穴をあけて、根の尖端を切除します。
なんで、こんなに怖いことをしないといけないんですかね?
歯の根の中が感染した場合、根管治療を行なって、歯の中をきれいに消毒して、根の先端の炎症(根尖性歯周炎)を治療します。
しかし、なんらんかの理由で、根管治療だけでは、根の尖端の炎症が治らないことがあります。
こういったときに、外科的に歯の尖端にアプローチして、感染している歯の根の尖端を切除してしまう方法を「歯根端切除術」といいます。
1)根の先端部の根管の細かい枝分かれの感染
2)根の尖端の外に及ぶ感染
3)レッジ、根尖部穿孔、器具破折などの医原性のエラー
まず、歯根端切除のながれをみてみましょう。
1)局所麻酔
2)歯肉切開・剥離:歯茎を切開してめくる
3)骨窩洞形成:骨を削って、根の尖端部を探す
4)歯根端切除:根の尖端を切除する
5)切断面観察:破折線・側枝・イスムスなどの確認
5)逆根管形成:根の尖端から根管の中をきれいにする
6)逆根管充填:根の先端から根管の中を詰める
7)縫合:歯茎を戻して縫い合わせる
これらの処置は、以前は肉眼レベルで行われましたが、非常に予後が悪かったです。
しかし、90年代から、手術用顕微鏡の視野下で歯根端切除(精密外科的歯内療法 endodontic microsurgery)を行うようになり、非常に治療成績がよくなりました。
(血が苦手な方は、このあと術中の写真が出ますので、ご注意ください!)
1)精密な歯根端切除:手術用顕微鏡の視野下で、根の尖端を正確に切除できるようになった
2)精密な逆根管形成:手術用顕微鏡の視野下で、根の尖端の超音波装置による消毒を行えるようになった
3)精密な逆根管充填:手術用顕微鏡の視野下で、根の尖端からお薬(セメント)を正確に詰めれる(精密な逆根管充填)ようになった
手術用顕微鏡のおかげで、歯根端切除術は大きな進歩を成し遂げれました!
しかも、保険診療でも行えるんです!
手術用顕微鏡を用いた精密な歯根端切除を保険診療で行うためには、
1)「歯根端切除術の注3」の施設基準を届け出ている
2)手術用顕微鏡が設置されている
3)歯科用CT撮影による診断が必要
4)逆根管充填(逆根充)に認められている材料は、強化型酸化亜鉛ユージノール(EBAセメント)、レジンセメント(スーパーボンドなど)、ガッタパーチャなどがある
1)手術用顕微鏡を用いた治療に関わる専門の知識および3年以上の経験を有する歯科医師が1名以上配置されている
2)保険医療機関内に手術用顕微鏡が設置されている
1)歯科用CT撮影:1,170点(撮影料600点+診断料450点+電子画像管理加算120点)
2)歯根端切除&逆根充:2,000点
3)歯根嚢胞摘出:400点(歯冠大)
合 計 )3,570点
なので、3割負担で、約10,000円ほどがかかります!
マイクロサージェリーでは、逆根管充填の材料として、最近はMTAがよく使われています。
しかし、保険診療ではMTAの逆根充への使用が認められていません。
なので、MTAを使用する場合は、自費診療になります。
EBAセメントも逆根管充填材として非常に有効ですが、あまり普及されてはいません。
今回は、保険診療で行える精密歯根端切除について確認してみました。
歯根端切除は、口腔外科領域だと思われがちですが、外科的に根管治療を行うわけで、口腔外科ではなく、根管治療の専門領域ですので、治療を希望される方は、根管治療専門医に必ず相談してください!(口腔外科では、基本的に、逆根管形成・逆根管充填の手技をトレーニングしていません!)
それでは、また!
[…] 保険適応の精密歯根端切除!実際の様子と費用! こちらの記事を参考に 算定要件 […]