歯の神経を残しました:症例4

今回も歯髄保存療法のケースをご紹介します。

まずは虫歯をきれいに除去する

拡大視野、象牙質の硬さ、う蝕検知液を目安に

して、まずは、感染象牙質をしっかり取り除きます。

詰め物を外すと深い虫歯が確認されました
う蝕検知液で染めながら、まずは、歯の神経(歯髄)付近にあるう蝕(軟化象牙質)を取り除いた後の様子です。
次は、歯髄付近の軟化象牙質を取っていきます。スプーンエキスカベーターという手用器具で、多量の軟化象牙質がポロポロ取れてきます。
う蝕を取っていくと、歯髄が点状に露出していることがわかりました。まだ、軟化象牙質がたくさん残っており、感染は確実に歯髄まで及んでいると言えるでしょう。

歯の神経を守る!

感染象牙質を除去したあとは、歯髄が元気かどうかを、マイクロスコープの拡大視野でしっかり確認します。

歯髄付近のう蝕を確実に除去し、歯髄の状態を歯科用マイクロスコープで観察します。歯髄の血流は良好で、毛細血管もしっかり確認できたので、健全な状態と判断しました。
BioMTAで露出した歯髄を保護した後の状態。

虫歯を除去してきれいになった象牙質も守る!

虫歯を取ったあと、きれいな象牙質が剥き出しの状態です。

新鮮な象牙質を、歯の接着剤とコンポジットレジンを用いて、しっかりコーティングしてあげます。

MTAで覆髄した後はどうするか?MTAの硬化には2時間ほどかかるので、仮封して、次のアポイントでMTAの硬化を確認することもできますし、象牙質が新鮮な内に、象牙質接着剤とコンポジットレジンを直ちに応用して、象牙質即時封鎖(IDS;Immediate Dentin Sealing)することもできますが、最近は、このあとの修復(二ケイ酸リチウム(イーマックス)アンレー)も考えて、IDSを選択するようにしています。IDSの前に、未硬化MTAの上にコンポジットレジンを盛っておきます。
未硬化MTAの上にコンポジットレジンを置いたあと、新鮮象牙質には、象牙質接着剤(メガボンド2システム)を塗布します。
コンポジットレジンとともに、Ribbondというポリエチレンファイバーを置いて、コンポジットレジンによる封鎖性を向上します。(ファイバーによるコンポジットレジンの重合収縮の軽減)
MTAで覆髄後、その日に、コンポジットレジンで新鮮象牙質の封鎖まで行いました。あとは、精度の高い、そして、接着強さの確保できた歯冠修復をしてしまって、不具合があれば、修復物は全部壊さずにリエントリーできるようにしておきます。

深い虫歯でも、歯の神経は守れます!

以上!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です